「アヴァロン」というカタカナ語の意味を説明します。
意味
「アヴァロン」は "Avalon"(あるいは "Avallon")という英語(*)をカタカナにした言葉です。アヴァロンとは
「アヴァロン」はアーサー王伝説に登場する島の名前です。 アーサー王伝説では、アヴァロンは地上の楽園として扱われています。
アヴァロンは、アーサー王の伝説の剣エクスカリバーが作られた場所であり、カムランの戦い(アーサー王の最後の戦い)で重傷を負ったアーサー王が傷を癒した場所でもあります。 アーサー王や他の英雄たち(円卓の騎士のことでしょう)が死んだときには、アヴァロンに運ばれました。
アヴァロンの場所
アヴァロンは(英国から見て)西方の海上に存在するとされます。
英国南西部に位置するグラストンベリーの近くにアヴァロンが存在すると考える人もいますが、その説は誤りだとされています。初出
「アヴァロン」という言葉が初めて使われた(記録として残っている)のは、ジェフリー・オブ・モンマスという人物が 1136年に発表した「Historia Regum Britanniae(ブリテン諸王の歴史)」 と呼ばれる書物です。
Wikipedia によると、ジェフリーは中世イングランドのキリスト教聖職者で、アーサー王伝説の語り手の一人として知られます。 彼は歴史家でしたが、著作のほとんどは歴史を題材としてはいるもののフィクション(史実ではない)です。
「Historia Regum Britanniae」にしても歴史書のフリをしていますが歴史書ではありません(偽史書)。 この本にはドラゴンが登場したりします(「ドラゴンとドレイクとワイバーンの違い」で、この本に言及しています)。
語源
上述の聖職者ジェフリーは「ブリテン諸王の歴史」において、アヴァロンのことを "Insula Avallonis(アヴァロンの島)" と呼びました。 "Insula Avallonis" はラテン語です。 「ブリテン諸王の歴史」がラテン語で書かれた書物だからです。
「アヴァロン」の語源は、英国で8~12世紀ごろに使われていたケルト語系の言語で「リンゴなどの果実(あるいはそうした果実の樹木)」を意味する言葉("aball" や "aballon" や "avallen" など)だと考えられています。
ジェフリーが「ブリテン諸王の歴史」より後に発表した「Vita Merlini」(*)という書物では、アヴァロンを指して "Insula Pomorum(果樹の島)" という呼称を用いています。わたしの推測
"Avallon" はジェフリー・オブ・モンマスの造語で、実在するどの言葉に基づいて彼が "Avallon" という語を生み出したのかが不明なのだと思います。 "aball" や "aballon" や "avallen" の辺りだと推量されてはいるけれど断定はできないという感じで。
アダムとイブのエデンの園でもそうですが、果樹は楽園の象徴なのでしょう。 だからジェフリーは、エデンの園と同様に楽園であるアーサー王が生まれた島の名前に「リンゴなどの果実」を意味する語をもじって "Avallon" という言葉を作ったんだと思います。
ジェフリーはウェールズ生まれだそうですから、前述の「英国で8~12世紀ごろに使われていたケルト語系の言語」は彼の母国語だったはずです。
現実社会における「アヴァロン」
地名
「アヴァロン(Avalon)」は米国、カナダ、オーストラリアなどの地名・空港・建物の名前に使われています。 米国には "Avalon" という地名がけっこうあります。 米国人はアーサー王伝説を好むのでしょうか? フランスにはブルゴーニュ地方にある "Avallon" の他に "Avalon"("l" が1つだけ)という名の村もあります。
その他
「アヴァロン(Avalon)」は、楽曲・バンド・映画・ゲーム・小説・漫画などのタイトルにもよく用いられます。