シャンプレーン湖のUMA「チャンプ」のサイズは? 正体は?

チャンプとは

チャンプは米国のニューヨーク州とバーモント州の州境に位置するシャンプレーン湖に生息するのではないかと伝えられるモンスターです。 いわゆるUMA(*)です。 シャンプレーン湖(Lake Champlain)のに住むということで "Champ" と命名されたのでしょう。
(*) 未確認動物。"unidentified mysterious animal" の略語。 ちなみに、"unidentified mysterious animal(UMA)" は和製英語。 「未確認動物」に対応する英語は "cryptid"。 "cryptid" も新しい語で、1983年に John E. Wall という人物が使い始めた造語。

これまでの400年間にチャンプを目撃したという報告が300ほどなされていますが、チャンプの存在は未だ明確には確認されておらず、当然その正体も不明です。

チャンプの大きさ

チャンプのサイズは、目撃例によって14フィート(4.3m)から187フィート(57m)と大きく異なります。

シャンプレーン湖の大きさ

チャンプが棲むというシャンプレーン湖は縦に細長い淡水湖で、縦の長さは172km、横幅は最も広い部分で23kmです。 参考までに、東京都(都庁所在地)と神奈川県(県庁所在地)の直線距離が27kmです。

シャンプレーン湖の面積は 1,269㎡、最大深度は120mです。 仮にチャンプの全長が57mだとしても、シャンプレーン湖の最大深度の半分以下という計算になります。

チャンプ存在の証拠?

先住民に伝わる伝説

シャンプレーン湖の付近に住むネイティブ・アメリカンであるアベナキ族とイロコイ族に、シャンプレーン湖に巨大な生物が棲むという言い伝えがあります。 アベナキ族はこの巨大生物をジータースコグ(Gitaskog)などと呼んでいました。 ジータースコグは「大蛇」という意味です。 ジータースコグは角が生えたヘビの化物で、湖の底に棲み人を食べると言われています。

シャンプランによる目撃報告

欧米人による初のチャンプ目撃例として有名なのは、植民地開拓者でありシャンプレーン湖の名付け親でもあるフランス人「サミュエル・ド・シャンプラン」が 1609年に報告したものです。 しかし現在では、このシャンプランによる目撃例が事実ではないことが明らかになっています。

Wikipedia によると、このシャンプランによる目撃例は 1970年に Vermont Life という新聞がシャンプランの報告を誤って伝えたものです。 シャンプランが「8~10フィートの巨大魚(ロングノーズ・ガーという種類の魚だと推測される)を目撃した」と記述しているのを Vermont Life 紙の記事で「全長20フィート(約6m)で、樽のように太い胴と馬のような頭を持つヘビ」と伝えたのだそうです。

また、Lake Champlain Regionというサイトには、シャンプランが「何か」を目撃したのは確かであるものの、それはシャンプレーン湖ではなくセント・ローレンス河でのことだったと記載されています。 このサイトには「セント・ローレンス河での目撃談が 1960年にシャンプレーン湖での目撃談にすり替わった」と記載されていますが、詳細は不明です。

セント・ローレンス河はシャンプレーン湖の北方の数10kmの辺りを流れ、やがてはセント・ローレンス湾へと至る河です。 シャンプレーン湖の北方を流れる辺りではそう大きな河ではありませんが、河口近くでは大河となります。 シャンプランが「何か」を目撃したのがセント・ローレンス河のどの辺りだったのかは不明です。

クラム大尉による目撃報告

チャンプの信憑性がある目撃例の中で最初のものは 1819年に "Plattsburgh Republican" 紙に掲載された記事です。 この記事において、クラム大尉なる人物が全長187フィート(57m)ほどの巨大なヘビのような生物を目撃したと述べられています。 200ヤード(183m)ほど離れた場所からの目撃だったのですが、この巨大生物は3本の歯と白っぽい色の眼を持ち、首の周囲がぐるりと赤色で、額に白い星型のマークがあったそうです。 2匹の大きなチョウザメと1匹のビルフィッシュ(カジキやサメの類の総称)がこの巨大生物の後について泳いでいたという記述もあります。

ムーニー保安官による目撃報告

1883年にネイサン H. ムーニーという保安官が、全長25~30フィート(7.6~9.1m)ほどの水蛇を目撃したことを報告しています。 ムーニー保安官は「この水蛇を間近で見たので、口の中に白いスポット状の模様が複数存在することまで確認できた」と主張しています。

ムーニー保安官の目撃報告ののち、「自分もチャンプを見た」という報告が多く寄せられました。

チャンプの写真

1977年に、家族と共にシャンプレーン湖に休暇に訪れていたサンドラ・マンシという女性が、湖面から何かが突き出ている様子をインスタント・カメラで撮影しました。 4~7分間にわたり突き出ていたそうです。

この「突き出ている物」の正体がチャンプではないかとも言われていますが、懐疑的な専門家は「湖のこの辺りの水深は最大でも14フィート(4.3m)ほどでしかなく巨大生物が活動するには浅過ぎる」と主張しています。

この写真はニューヨーク・タイムズ紙に掲載されました。

チャンプの動画

ディック・アフォルターという名の弁護士が 2005年7月11日に義理の息子とシャンプレーン湖にボートを浮かべて釣りをしていてチャンプの動画を撮影したと報告しています。 この弁護士はそれまでチャンプの存在に懐疑的だったのですが、この日以来すっかりチャンプの存在を信じるようになりました。

アフォルター氏は当初、「それ」が丸太か線路の枕木だと思ったのですが、どうも様子がおかしいのでボートを近づけてみると、生き物であることが判明しました。 背中の長さだけでも3~4mは十分にあり、ヘビに似た体つきで頭部は両手持ちのハンマーを巨大にしたような感じだったそうです。

撮影した動画を見た者の話では、首や頭の形状がプレシオサウルスのような動物が口を開閉するようにも、あるいは魚やうなぎのようにも見えたとのことです。

FBI(米国連邦捜査局)で映像解析を担当していた二人の専門家にこの動画を見せたところ、動画が捏造である疑いはないと判断されました。

チャンプの音声?

2003年には Fauna Communications Research Institute という組織がTV番組の企画でチャンプの鳴き声かもしれない音声の録音に成功しました。 その音声はシロイルカやイルカの鳴き声に似ていましたが、シャンプレーン湖にはどちらも生息していないと考えられています。

チャンプの正体

恐竜の可能性は低い

チャンプの正体は未だ不明ですが、プレシオサウルス(1)やバシロサウルス(2)のような恐竜である可能性は残念ながら極めて低いと言わざるを得ません。

(1) 2億年ぐらい前に存在した水棲恐竜。 体長は2~5mと意外に小さい。

(2) 約4千万~3千4百万年前の温暖な海に生息していた原始的なクジラ。 体長15~25m。 浅瀬に棲んでいたと考えられている。

まず、シャンプレーン湖が大西洋とつながっていた1万年前に水棲の恐竜がシャンプレーン湖に迷い込んできて、その個体が現在まで生存しているということは考えられません。

となると、特定の種類の恐竜の群れが太古よりシャンプレーン湖で子孫を残して存続しているか? ということになるわけですが、そのためには同じ種類の恐竜が少なくとも500頭(30頭とする専門家もいる)は必要だと考えられます。 巨大な生物がそんなにたくさんいるのなら、チャンプの目撃例がもっと多くなるはずですし、死体など生息の痕跡が見つかっているはずです。

その他の可能性

チャンプの正体として挙げられているのは次のようなものです:
  1. ガーやチョウザメなどの巨大魚
  2. カワウソ(群れが1匹の巨大生物に見える)
  3. ワニ
  4. 木の幹の見間違い
  5. 湖に沈んでいる大きな物の見間違い(1)
  6. リュウグウノツカイ(2)
  7. (1) チャンプの目撃例は湖で内部静振という現象が活発となる夏季に集中している。湖の底に沈んでいた大きな物が内部静振で浮き上がったのをチャンプと勘違いした可能性がある。 夏季にシャンプレーン湖で遊ぶ人が増えるんじゃないかとも思いますが。

    (2) シャンプレーン湖はかろうじて海とつながっている。細い川で100km近く流れた後にセント・ローレンス河に合流し、そこから大西洋に流れ込む。 リュウグウノツカイ説はバーモント大学の研究者が「可能性は極めて低いとしながら」挙げている説ですが、深海魚が100km近くも淡水の川を遡るなんて、わたし個人としては恐竜説と同じぐらいあり得ないんじゃないかと思います。セント・ローレンス河の辺りは緯度が高すぎてリュウグウノツカイの生息域から外れているように思うし。