ファンタジー作品のサブ・ジャンルである「ハイ・ファンタジー」と「ロー・ファンタジー」。 この2つはどう違うのでしょう?
1. ハイ・ファンタジーとは
ハイ・ファンタジー(high fantasy)の意味は次の通り:
ファンタジー作品のジャンルの1つであって、現実世界ではない異世界を舞台とするもの。 また、そういうジャンルに属する作品。
例えば、次を舞台に描かれるジャンル/作品がハイ・ファンタジーです:
- 人が当たり前のように魔法を使う別世界
- オークやゴブリンなどの魔物が闊歩する異世界
異世界との接点として現実世界が登場する作品でも、作品の主な舞台が異世界ならハイ・ファンタジーに分類されます。
ハイ・ファンタジー作品の例
ハイ・ファンタジーの例として思い浮かぶのは次の作品:
- ドラゴン・クエスト(ゲーム)
- ファイナル・ファンタジー(ゲーム)
- Bastrd!(マンガ)
- ベルセルク(マンガ)
- Hunter×Hunter(マンガ)
- ファイブスター物語(マンガ)
- トリコ(マンガ)
- 風の谷のナウシカ(ジブリ・アニメ)
- 天空の城ラピュタ(ジブリ・アニメ)
- ロードス島戦記(小説)
- 指輪物語(小説)
2. ロー・ファンタジーとは
ロー・ファンタジー(low fantasy)の意味は次の通り:
ファンタジー作品のジャンルの1つであって、現実的な世界を舞台とするもの。 また、そういうジャンルに属する作品。
現実世界を舞台とし、そこに非現実的な要素を持ち込むのがロー・ファンタジーです。
例えば、日本の高校生が超能力に目覚める。 あるいは、自衛隊が異世界から侵入して来たモンスターと戦う。 そんな作品がロー・ファンタジーです。
作品世界の基本的なルールが現実世界のもので、そこに現実と異なる法則を持ち込む* のがロー・ファンタジーだと言えます。
* 質量保存の法則を無視する、神様が実在し世界に干渉する、消費税を増税して景気が良くなるなど。
ロー・ファンタジー作品の例
ロー・ファンタジーの例として思い浮かぶのは次のようなもの:
- ドラえもん(マンガ)
- 寄生獣(名作マンガ)
- 絶対可憐チルドレン(マンガ)
- 東京グール(マンガ)
- 黒子のバスケ(マンガ)
- テニスの王子様(マンガ)
- うる星やつら(マンガ)
- 金色のガッシュ(名作マンガ)
- 名探偵コナン(マンガ)
- 紅の豚(ジブリ・アニメ)
- トトロ(ジブリ・アニメ)
- 千と千尋の神隠し(ジブリ・アニメ)
- おジャ魔女ドレミ(名作アニメ)
- ウルトラマン(テレビ)
- 仮面ライダー(テレビ)
- 誰も知らない小さな国(児童文学。名作)
- ピノキオ(童話)
- 銀河英雄伝説(小説)
- スーパーマン(映画)
- スパイダーマン(映画)
- バットマン(映画)
- 女神転生(ペルソナ)シリーズ(ゲーム)
3. 「ハイ/ロー・ファンタジー」という言葉の由来
ハイ・ファンタジー
「ハイ・ファンタジー」という言葉は、米国のファンタジー作家ロイド・アレクサンダーによる造語とされます。 彼は 1970年ごろに発表したエッセイ『High Fantasy and Heroic Romance』で初めてこの言葉を用いました。
ロー・ファンタジー
「ロー・ファンタジー」のほうの由来は定かではありません。 ハイ・ファンタジーに対立する概念として自然に(著名人の発案によらず)発生したのかも。
4. 「ハイ/ロー・ファンタジー」の境目は不明瞭
ハイ・ファンタジーとロー・ファンタジーの境目は不明瞭です。 例えば:
- 現実世界と異世界の両方を舞台とする作品は分類が不可能。
- パラレルワールドを舞台とする作品で、どの程度の異世界度(現実世界からの乖離の程度)からハイ・ファンタジーに分類されるのか不明。