「バーサーカー」と「バーバリアン」の意味、両者の違い

RPG(ロール・プレイング・ゲーム)やファンタジー小説に、「バーサーカー」や「バーバリアン」という言葉が出て来ることがあります。 この2つの語は音の響きも印象も似ていますが、どのように違うのでしょうか?

「バーバリアン」の意味

「バーバリアン」は "barbarian" という英語をカタカナで表記した言葉です。

"barbarian" は「野蛮人」や「蛮人」という意味です。 辞書では "barbarian" を次のように説明しています:
  1. 野蛮人・蛮人・未開人・夷狄(いてき)。 自分たちが文明/文化的に最も進んでいると考える民族(例. 古代のギリシャ人やローマ人)が他の民族のメンバーを蔑んで指し示すときに使う言葉。 "barbarian"は、民族(グループ)ではなくグループの一員(個人)を指し示す。
  2. 野蛮/凶暴/乱暴/冷酷な人。 比喩的な意味での野蛮人。
  3. 垢抜けない/洗練されていない/教養がない人。 これも比喩的な意味での野蛮人。

2と3の意味から、バーバリアン(野蛮人)の特徴的なイメージが、①乱暴である、そして②教養がないというものであることがわかりますね。

"barbarian" には形容詞としての意味(文明的に未開の/垢抜けない/乱暴な/冷酷な/異国の)もありますが、RPGや小説に登場する「バーバリアン」は名詞です。

語源

"barbarian" の語源は、「異国の・非ギリシャの・見慣れぬ」などを意味するギリシャ語 "bárbaros" です。

「バーサーカー」の意味

「バーサーカー」は "berserker" という英語をカタカナで表記した言葉です。 "berserker" は「狂戦士」という日本語に訳されます。 辞書では次のように説明されています:
  • スカンジナビア半島(北欧)に住んでいた古代部族の戦士。 戦闘開始時に自らを狂乱状態に駆り立て、自分の安全を度外視して獰猛に戦ったと言い伝えられる。

Wikipedia の説明を見ると、バーサーカー状態とはトランス状態のようなものだったようです。 戦闘以外の力仕事などでも、このトランス状態に陥ることでリミッターを外して火事場の馬鹿力を意図的に引き出したようです。 バーサーカーが北欧神話に登場するオーディンの信奉者であると説明する文献もあるので、宗教的なトランス状態だったのでしょうか。 トランス状態に入るのに薬物や酒を使ったという説もあります。

Wikipedia には「ヴァイキングの村々が戦争に赴いたとき、バーサーカーは戦闘において(狂乱のために)敵と味方を区別できなかった」という記述もあります。 ゲームや小説での描かれ方とそう違いませんね。 任意にリミッターを外して火事場の馬鹿力を引き出すなんて、そのままマンガやラノベに使えそうです。

語源

"berserker" の語源は "berserkr" という古代スカンジナビア語です。 "berserkr" は突き詰めると「熊の毛皮(bear skin)」という意味です。 古代部族の戦士たちが熊の毛皮に身を包んで戦ったことに由来するのだと考えられています。

古代スカンジナビア語 "berserkr" から英語の "berserker" という語を作ったのは、Walter Scott という作家です。 この作家が 1822年に発表した "The Pirate(海賊)" という小説で、"berserker" という言葉が初めて使われたのです。 小説 "The Pirate" の時代設定は 1700年前後です。 この小説は、ジョン・ガウという名前の海賊(1698~1725年)の生涯をモチーフにしています。

「バーサーク」

「狂戦士化する」という意味で「バーサークする」というカタカナ語が使われることがあります。 「バーサークする」に対応する英語の表現は "go berserk(狂乱する)" です。

  1. 英語の "berserk" は形容詞または名詞として使われます。 形容詞の意味は「バーサーカーのような/非常に取り乱した/夢中の」といったもので、名詞の意味は「バーサーカー/暴力的な人/取り乱した人/タガが外れた人」といったがものです。
  2. 英語の "berserk" に「バーサーカー化する」という動詞の意味はありません。 少なくとも辞書には乗っていません。
  3. "berserk" から "berserker" という語が生じたのではなく、"berserker" から "berserk" という語が生じました。

「バーバリアン」と「バーサーカー」

「バーバリアン」が「蛮人」という意味で、「バーサーカー」が「狂戦士」という意味であるわけですが、蛮人であっても理性があるのが普通なので「バーバリアン=バーサーカー」という図式は成立しません。

しかしながら、古代ローマ時代の遺跡である「トラヤヌスの記念柱」にはバーサーカーと思われる戦士の姿が描かれており、古代ローマ人にとって、こうした戦士は蛮人だったのではないかと思います。

また、"berserker" の意味の説明に出て来る「獰猛に」という言葉は、英語の原文では "savage" ですが、この "savage" の意味として辞書に "wild, not civilized, barbaric(バーバリアンの)" と記載されてたりします。

したがって「バーサーカー」と「バーバリアン」は無関係というわけでもなさそうですね。 両者のイメージが似ているのも頷けます。
ちなみに、"wild" は「未開の」という意味で、"not civilized" は「文明化されていない」という意味です。