「チート」の意味・成り立ち・意味の変化

目次
  1. 「チート」の語源
  2. カタカナ語「チート」の本来の意味
  3. ラノベにおける「チート」
  4. 「チート」の意味の変質

「チート」の語源

「チート」は "cheat"

「チート」は "cheat" という英語をカタカナで表記した言葉です。

"cheat" の意味

動詞の意味

"cheat" は「不正を働く、だます、あざむく、詐欺を働く、不倫する、ズルをする、カンニングする、(死や事故などを)免れる」などの意味で使われます。

名詞の意味

"cheat" には「不正行為」や「詐欺」「詐欺師」といった名詞の意味もあります。

カタカナ語「チート」の本来の意味

名詞の "cheat" にはコンピューター・ゲームで不正な遊び方をすること」という意味もあり、それが現在普及しているカタカナ語「チート」の元々の意味です。

「不正な遊び方」とは、コンピューター・ゲームで不正な手段により、ゲームを楽にクリアしたり他のプレイヤーの優位に立ったりすることです。

この「不正な手段」とは次のようなものです:

  1. ゲームに用意されている隠し機能(隠しコマンドなど)を使用する。 製作者がテスト・プレイなどのために用意したが、プレイヤーが気づくとは思っていなかった秘密の機能。
  2. ゲーム・システムの欠陥を突く。 「欠陥」とは、プログラムのバグ、あるいは、ゲームの製作者が見過ごしていた(気づいていたなら修正していた)現象。
  3. 例えば、ロール・プレイング・ゲーム(RPG)で、特定の装備(剣とか鎧とか)の組み合わせでゲーム・バランスが崩れるほどにキャラクターが強くなるなど。
  4. 不正なプログラムを使用してゲームを改変する。 「不正なプログラム」とは、次に述べる「チート・ツール」のこと。

チート・ツールとは

人気のあるゲームでは、プレイヤーが有利に遊べるようにゲームを改造するプログラムが(ゲームの製作者ではない人によって)作られ、ネット上で無料あるいは有料で提供されることがあります。 こういうプログラムは、「チート・ツール」や「改造ツール」あるいは「スポイラー(スポイルするもの、甘やかすものという意味)」と呼ばれます。

チート・ツールを使うと、例えば、プレイヤーのキャラクターが不死身になるとか、ステータスのパラメーター(筋力や魔力や素早さなど)が通常のプレイではあり得ない高さになるとか、貴重なアイテム(強力な武器など)を利用できるようになったりします。 チート・ツールで何ができるかは、ツールの機能により様々に異なります。 1つのゲームのために複数のツールが(別々の作者の手によって)作られることもあります。
ゲームを改造するプログラムは30年以上前から存在していました。 一部のパソコン雑誌にPCゲームを改造する(キャラクターを無敵にするなど)ためのプログラムが掲載されていて、プレイヤー(雑誌の読者)はそれを手作業でパソコンに入力してゲーム・プログラムに適用したのです。 当時は「チート」というカタカナ語は使われておらず「(ゲームの)改造プログラム」などと呼ばれていました。

ラノベにおける「チート」

多くのファンタジー系ラノベ作品では、RPGのようなファンタジー世界を作品に取り込むにとどまらず、RPGそのものを作品に取り込んでいます。 主人公がRPGの中の世界に入り込むなどして、作品中にRPGと同じレベルアップやステータスやスキル・魔法・アイテムなどの概念を登場させているのです。

こうした作品の中には、キャラクターのレベルや筋力・魔力・生命力などの具体的な数値まで出しているものもあります(物語が進むとキャラクターのレベルが上がり、ステータスの値も高くなる)。

そんなラノベにおいて「チート」とは、作中のキャラクターが有する過度に有利な能力や状況や環境などを意味します。

ラノベの「チート」の例

過度に有利な能力や状況や環境」とは、例えば次のようなものです:

  1. 最初からLv999
  2. ゲーム内に転生したら能力と装備が最強の状態だった
  3. ファンタジー的な世界に転生したら、RPGのようなレベルの概念があって簡単に強くなれるのが自分だけだった
  4. その世界に住む全員にレベルという概念があるが、なんらかの理由で自分だけレベルが上がるのが異様に早い
  5. 転生したら公爵令嬢だった(大人としての知能・知識・経験を持つ女性が、公爵令嬢という有利なポジションで幼女の状態から物語スタート)
  6. いくらでもカネ(ゴールド)が出て来るカバンを所持している
  7. 異世界に転生したら最強のドラゴンだった
  8. 異世界に転生して都合良い偶然が重なった結果、最強のモンスターがペットになった
  9. 住んでる場所が魔力のホットスポットだった(だから何も鍛えてないのに強いという話。たぶん)
  10. 転生したらスライムだった(無限のポテンシャルを秘めていた)

多くの場合、顕著なチートを有するのは主人公ですが、主人公以外のキャラがチートを持っていることもあります。

「チート」の意味の変質

新しい意味

(ラノベの意味での)チートは羨まれるべきものです。 そのため、「チートではないけれど他人が不当に恵まれていると感じる部分」をやっかんで「チート」と呼ぶことがあります。

この意味での「チート」は、例えば次のように使われます。
それってチートじゃん!
# 「それって、まるでチートじゃないか。 ズルいと感じるほどに羨ましい」という意味です。

現実への波及

このような「不当に恵まれている」という意味でのチートの使い方はラノベの世界にとどまらず現実にも波及しています。 「ウソみたいに羨ましい!」とか「恵まれすぎだろ!」と感じられる事柄について、実生活でも「チート」という言葉が使われるようになっているのです。

以下はネットで収集してきた実例です。
毎日キャバクラに行って豪遊してもよし。 家で1日中寝ててもよし。 1日中彼女とデートしてもよし。 みたいな笑. こんな状態でもその方は毎月500万の仕組みからの自動収入があるというのです。 はあああああ!?????? チートだろそれ
# なにかのウサンくさい商品の宣伝文句です。 世の中こんなうまい話があるわけないので、騙され(チートされ)ないようにしましょう。
サメって寿命がないとか歯が無限に生えてくるとかチートすぎるよね
# 「チートすぎる」は「チートみたいであるにもほどがある」という意味です。

フィクションへの回帰

以下の用例からは、意味が変質した「チート」が再びフィクションの世界へと回帰して来たことが窺えます。
ウィザード関連は賢者の石が一番のチートだろ
# 仮面ライダーの掲示板の書き込みです。 作品の世界観を崩すほどに強力すぎるというニュアンスがあるように思われます。
追加クラスがチートなんでヒーロー増えても余裕なんですけどね

# GrimDawn というゲームの話です。 ゲームの話題ですが、この「チート」は「チート行為」や「チート・ツール」という意味ではありません。

この「チート」は「ゲーム・バランスが崩れそうなほどに有利」という意味です。

「クラス」とはRPGにおける職業のことです。 ドラクエで言えば戦士・魔法使い・僧侶などの職業の種類のことを、ゲームによっては「クラス」と呼びます。

「追加クラスがチート」とは、「GrimDawn のアップデートにより新たに追加されたクラスが既存のクラスに比べて有利すぎる」という意味です。

ゲームのコミュニティーでは「チート行為」や「チート・ツール」という本来の意味での「チート」も依然として頻繁に使われるので、意味が変質した「チート」と混同しないように注意が必要です。