カタカナ語「アヴァロン」の意味を説明します。
1. アルファベットに戻すと
2. アヴァロンとは
2.1. 島の名前
「アヴァロン」はアーサー王伝説に登場する島の名前。 アーサー王伝説で、アヴァロンは地上の楽園として扱われます。
アヴァロンは次のような場所です:
- アーサー王の伝説の剣エクスカリバーが作られた。
- カムランの戦い(アーサー王の最後の戦い)で重傷を負ったアーサー王が傷を癒した。
- アーサー王や他の英雄たち(円卓の騎士のことでしょう)が死ぬとアヴァロンに運ばれた。
2.2. アヴァロンの場所
アヴァロンは(英国から見て)西方の海上/に存在するとされます。
「英国南西部に位置するグラストンベリーの近くにアヴァロンが存在する」とも言われますが、その説は誤りとされます。2.3. 初出
「アヴァロン」という言葉が初めて使われた(記録として残っている)のは、ジェフリー・オブ・モンマスという人物が 1136年に発表した「Historia Regum Britanniae(ブリテン諸王の歴史)」 と呼ばれる書物です。
ジェフリーは「ブリテン諸王の歴史」において、アヴァロンのことを "Insula Avallonis(アヴァロンの島)" と呼びました。ジェフリーについて
ジェフリーは中世イングランドのキリスト教聖職者で、アーサー王伝説の語り手の一人として知られます。 彼は歴史家でしたが、著作の多くは歴史を題材とするフィクション(史実ではない)です。
「Historia Regum Britanniae」も歴史書のフリをしていますが歴史書ではありません(偽史書)。 この本にドラゴンが登場することからも明らかです(参考:「ドラゴンとドレイクとワイバーンの違い」)。
3.「アヴァロン」の語源
3.1. 果実
「アヴァロン」の語源は、英国で8~12世紀ごろに使われていたケルト語系の言語で「リンゴなどの果実(や樹木)」を意味する言葉("aball" や "aballon" や "avallen" など)だとされます。
ジェフリーは「ブリテン諸王の歴史」より後に著した「Vita Merlini」(*) で、アヴァロンを指して "Insula Pomorum(果樹の島)" と呼んでいます。「アヴァロン」の語源が「果実」であることを支持する材料です。3.2. 推測
ジェフリー・オブ・モンマスによる造語?
"Avallon" はジェフリー・オブ・モンマスの造語で、彼が実在のどの言葉に基づいて "Avallon" という語を作ったのか不明なのでしょう。 "aball" や "aballon" や "avallen" の辺りが語源と推測されるが断定はできないという感じで。
楽園のイメージ
アダムとイブのエデンの園もそうですが、果樹は楽園の象徴でしょう。 ジェフリーはアーサー王が生まれた島を楽園のイメージにしたくて、「リンゴなどの果実」を意味する語をもじった "Avallon" を島の名前にしたのだと思います。
ジェフリーの母国語
ジェフリーはウェールズ生まれだそうですから、前述の「英国で8~12世紀ごろに使われていたケルト語系の言語」は彼の母国語だったはずです。
4. 現実の「アヴァロン」
4.1. 地名
「アヴァロン(Avalon)」は米国、カナダ、オーストラリアなどの地名・空港・建物の名前に使われます。 米国には "Avalon" という地名がけっこうあります。 米国人はアーサー王伝説を好むのかも。
フランスでは、ブルゴーニュ地方に "Avallon" という名の地方自治体(コミューン)が存在するほか "Avalon"("l" が1つだけ)という名の村もあります。
4.2. その他
「アヴァロン(Avalon)」は、楽曲・バンド・映画・ゲーム・小説・漫画などのタイトルにもよく用いられます。