RPGやライト・ノベルに登場する盾「ヒーター・シールド」。 このヒーター・シールドとは、どのようなものでしょうか? 「ヒーター・シールド」の「ヒーター」は何を指すのでしょうか?
1. ヒーター・シールドとは
1.1. 形状
ヒーター・シールドはアイロン(衣服に押し当てる熱い器具)のような形をした盾です。
Author: Pseudomonas
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1.2. 素材
ヒーター・シールドは木製の板に革を貼り付けたものが一般的でしたが、金属製(鉄や鋼など)のものや、木材を金属で補強したものも存在しました。
1.3. 携帯
ヒーター・シールドには「ギージ(guige)」と呼ばれるストラップが付いていて背負えるようになっていることが珍しくありませんでした。
2. ヒーター・シールドの歴史
2.1. 発祥
ヒーター・シールドは12世紀後半のヨーロッパで、カイト・シールドが改良されて誕生しました。
2.2. 利用
ヒーター・シールドはカイト・シールドよりも小型で軽量。 ゆえに取り扱いが比較的容易で、歩兵も騎兵も使用できました。 また、製造コストが比較的安いため、騎士だけでなく一般的な兵士も使用しました。
ヒーター・シールドは防御面積がかなり広いものの、足元がカバーされないのが欠点。 この欠点は、すね当てなどの防具を充実させることである程度解消できます。
2.3. 末路
板金鎧でカバーされる体の範囲が広がるにつれヒーターシールドは小型化が進み、14世紀半ばにはトーナメント(馬に乗った騎士が槍や剣で戦う試合)以外では見かけなくなりました。
トーナメント用の盾としては、ヒーター・シールドは15世紀以降も改良が続きました。
3.「ヒーター・シールド」の語源
3.1. 近代になってからの呼称
「ヒーター・シールド」という呼称は中世のヨーロッパで自然に発生したのではありません。 ビクトリア朝(1837~1901年)時代の古物愛好家が、アイロン(衣服のシワを伸ばす器具)に形が似るという理由で、この種の盾を「ヒーター・シールド」と呼び始めました。 それが呼称の由来です。
3.2. "heater" はアイロンなのか?
英語の "heater" は「熱を発する器具全般」を指すのでアイロンも含むでしょう。 ですが特に「アイロン」を意味するわけではありません。
1800年代にもアイロンは「アイロン(iron)」と呼ばれた("heater" と呼ばれたわけではない)ようです。電気で加熱するアイロンが誕生したのは19世紀末で、それまでのアイロンは単なる鉄の塊(形状だけは現在のアイロンと同じ)をストーブなどで熱して使用しました。
1800年代のアイロン
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Author: Gnangarra
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